【小説】

【大切な貴方…】手塚×三蔵です。
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慌てて走って家の扉をガチャっと手塚がドアノブを捻れば案の定、

待たせていた客人が遅いぞと言わんばかりに睨みつけてきた。

そう、客人とはつい昨日恋人になったばかりである三蔵の事である。

最初に告白をしたのは手塚からで三蔵自身も手塚は、

嫌いではないという事でOKをだしてくれたのだ。


そうして、お互い両思いではないものの日々、

手塚や三蔵にとって前とは違う生活感も悪くはないと思っているので昨日から楽しく過ごしていた。

『そんなに恐い顔をするな。予定より早く来ているお前が悪いんじゃないのか?』

『ふん!お前が今夜は時間があると言うからだな、一緒に晩御飯を食べようと待っていたのに遅いからじゃないか!?

俺が来てから何分待っていると思う!!ご飯が冷めてしまったぞ』

おいおい。俺は、夜6時頃なら空いていると言ったが先に客人が来て俺を待っていたらまずいと思って30分前には自室へと帰って来たんだぞ?

なのに、このあまりにもお前が悪いと言わんばかりに怒鳴ってくる俺の恋人の三蔵に手塚は呆れてものもいえなくなる。

何故ならば、一緒懸命に自分のために料理を作っていたのだろうと思われる三蔵の指には、

使い慣れていない包丁で切った様で絆創膏が何個も貼ってあった。

その事に気が付いた手塚は、俺の為に頑張って作っていてくれたのだな。
とかえって嬉しさが手塚の心の中で生まれてくる。

また、俺の為に料理を作った事がない三蔵の気持ちが伝わってきて愛しささえ沸き上がってくる衝動に手塚は感じていた。

『それで?折角作ってくれたご飯を今から温めなおすんだろ?』

『あぁ。今からご飯を作りなおすつもりだ。だから、少し時間が掛かると思うがお前は座って待っていろ』

手塚は、テーブルに並ぶ料理を見るとすまなさそうに言い着ていた制服を着替える。

三蔵は、手塚の言葉に頷くとエプロンをつけて、

テーブルに置かれているハンバーグやサラダ等の皿をキッチンに運ぶとぎこちなくだが冷めてしまった料理を作りなおしている。


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