1/17ページ目 切り落とされた五本の指。 今は完治していて、そのつなぎ目だけが落とされた証だ。 痛みはない。だけど触ると、苦い思いがふつふつと胸を舐める。 これは警告だ。あの痛みを忘れるなと。忘れてはならない。 $ その男に会ったのは、カイジがバニーになって間もない頃だった。 カジノフロア、そこには異様な光景が広がっている。 男や女、老いも若きもみな裸だ。バニーと交わりながら酒やドラッグを楽しみながら、ゲームをしている。 まるで神が天罰をくだした、ソドムとゴモラの街だ。堕ちている。ルールもマナーもない。船の最底辺。 「うっ……おぇっ!!」 慣れない。 慣れない。 慣れない。 慣れるな……! カイジは吐き気を正常の証として、快く迎い入れた。 蛇口をひねり、水で口を洗う。 扉の先は天国の最下層。それがカイジの職場だ。 また外に出れば、気持ち悪くなるだろう。 トイレだけだ。落ち着けるのは。 カイジはいつからか、どう効率よくサボれるかを考えるようになってた。 しかしここにも監視カメラはついている。長くはサボれない。 ギィと扉が開き、カイジは何となくそちらを見た。 太ったメガネの男がニタニタ笑っていた。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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