カイジ

小説家はかく語りき
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和也の本が、棚にはズラッと並んでいる。
本を取り、パラパラとページを捲ってみると、中身は似たようなものばかりだった。
ノワール、ピカレスク、グロテスク、ヤクザ。内容は少し違うが、これらには一貫したテーマがあった。
いわく、『愛なんて超くだらないです』
読んでるだけで鬱になってきたカイジは、ため息をついて本を閉じた。




「いや〜、さすが先生。今作も素晴らしいですねぇ!」

担当はさっきからおべっかしか言わない。かれこれ15分もたつ。

(つまんねーやつ)
和也の周りにはこのつまんねぇやつばっかりだが。

「なぁ、もういいだろ? こっちら人待たせてんだよ」

手首のロレックスを指さすと、担当は慌てて席を立つ。

「あぁ、お時間を取らせて、すいませんでした先生! 次回もまたウチでお願いします!」

テンプレ通りのおべっか、別れの挨拶。
(本当につまんねぇやつだな)



約束の時間は20分オーバーしていた。

(これはもう、カイジ待ってねーな……)
あ〜あ。
せっかく約束をとりつけたのに……。
喋るのさえ嫌がるのに、カイジと約束なんて滅多にないんだぞ。

(あの担当め……今度会ったらタダじゃおかね…………)


「遅いぞ……!」

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