1/7ページ目 アカギの人生は凪に突入していた。 風もなく波もない。平凡な人生ほど、つまらない物はない。今の状態なら、死んだ方がマシ。アカギはそう思っていた。 何か心臓を鷲掴みにするような、恐ろしいギャンブルでもないか。 色んなギャンブルをやり、色んな闇を経験してきたアカギは、いつからか深い虚無を抱えるようになっていた。 「今回お前らに見てもらうのは、ある男の資料だ」 一条はドライブにCDを入れる。 デスクに腰を下ろしているアカギは、手元の帝愛関係者のリストを、ペラペラとめくる。 「誰ですかね、ある男って」 「……さぁ」 零が話しかけてくる。 正直どうでもよかった。 最近大きな事件がなく、暇と刺激を持て余していた。 どうせ今回も小さい事件だろう。 やがてモニターに男が映った。 長髪に目元の傷が目立つ。 「これが特調のキーになる男だ。伊藤、カイジ」 一条は珍しく笑っていた。 画面の中のカイジは、カードを手に、泣いている。 アカギは口元で笑う。 (面白い顔……) からかったら、さぞや楽しい男だろう。 「?」 男の顔が変わった。まるで別人のように、鋭く、研ぎ澄まされる。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
[編集] |