その他

空蝉の影/外法帖
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「緋勇……! 待て……!!」

蕎麦屋で会ったのは、龍閃組の京梧だった。
見るなり丼を捨てて追いかけてきた。
往来に出ると、熱い日差しがかっと照っていた。

「待て……! この野郎!」

日陰を目指し、飛脚のように走っても、京梧は尾のようについてくる。
古寺を抜け、茂みに飛び込んだ。

「もらったぁああ!!」
「?!!」

京梧が飛んだ。予想外のことに身体が動かない。
どしゃりと京梧の下になった。

「へへっ、これで逃げ……」

蝉が五月蝿い。じぃ、じじじと右や左の木陰で唸っていた。
「……どうした」
「……………お前ってさ、綺麗だよな」
「……そんな事を言われたのは初めてだ」
「俺と会う時は、いつも仏頂面だな」

唇を指で触れられた。その感触が懐かしく感じて、龍斗は眉を寄せる。

「お前、衆道の毛でもあるのか?」
「……わかんねぇ」「わかんねぇって」
「お前に会いたくて仕方がねぇ」

帯を解かれて、京梧の指が身体をなぞった。

「!」
身を捩って逃げようとすると、唇を塞がれた。

「んっ……」

顔を背けると、顎を捕らわれて引っ張られた。より深く接吻することになってしまった。


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