その他

キミの隣/外法帖
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「……涼しい」

御堂は広く、外とは違ったひんやりとした氣があった。
大きな仏像の前に倒れると、涼しげなお経が流れてきた。

尚雲が手に数珠を持ってお経を唱えていた。
尚雲の経は好きだ。
聴いているととても落ち着く。外は灼熱地獄だというのに、ここだけ別世界にいるような涼しさと静さで、気持ちがいい。


「師匠、眠ってしまったのか?」

このまま、まどろみの中でうとうとしていたかった。
ふと、何か重みを感じた。続いて軽い吐息が顔にかかる。

羽根のような軽い感触が唇に。

「……?」
「こんな所で寝ると風邪をひくぞ、師匠」
「あ、ああ……」

口を拭うと、確かに濡れている。

しかし、尚雲の様子はいつも通りだ。
霞のように消えてしまった感触だった。
(気のせい、か……?)

「たんた〜ん、夕飯だぞー!」

龍斗は顔を上げる。

「応、今行くー!」


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