その他

恋の処方箋/幻水TK
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ザフラーに名指しで呼ばれ、嫌な予感がしたのだ。

ちょっとした薬の副作用のテスト、という依頼だった。
今思えば断っておけばよかったんだ……。


「いいかね、ロベルト君。私は万能医師を目指している。ボーパスから人間まで、ありとあらゆる病を治したいのだ!」

「はぁ……」

医務室に来るなり、ザフラーの熱弁がはじまり、ロベルトは早くも嫌気がさしてきた。

「昨今では、心的外傷という精神の病が確認されている。
例えば、ショッキングなことを見てしまい、一時的に喋れなくなってしまう子供など、そう言ったものだ」
長い。
三行でまとめてくれ。
大体、今の話は依頼に関係あるのか?

どんな薬なんだと聞いてから、ザフラーの長い熱弁が始まったが、中々薬の内容に触れようとしない。


「私はそんな精神の病を今、研究中なのだ。しかし、人の精神は奥が深い。体の比ではない」

窓の外から明るい午後の光が入ってくる。
こんなことなら畑に出た方がマシだった。

「君は鬼焼きモロコシを知ってるかね?」

いきなり変なことを問われ、ロベルトは顔をしかめた。

「食べると怒りっぽくなるという、アレか」

前に食べたことがあるが、あまり覚えていない。
団員が言うには、自分の複雑な鎧の紋様に延々と文句をつけていたらしい。
思い出しくない。


「そうだ。一時的に人を興奮させやすくなる。それが薬でもできるんじゃないかと思ってね」

ロベルトは席をたった。

「冗談じゃない。そんな薬誰が飲むか!」
「いや、飲まなくていいんだよ。ユーニス君」
「はい、先生」


気づくとユーニスにがっしりと、後ろから押さえつけられていた。
たかが看護婦、と思い油断していたらしい。

暴れるが、暴れる患者に馴れてるのかユーニスは振りほどけない。

「くっ……お前も戦闘メンバーになった方がいいんじゃないのか?!」
「痛くないでちゅよ〜」

注射器がかかげられ、そでを素早くまくられた。

「安心したまえ、ロベルト君。これは興奮薬ではない」

ぶすりと針が腕に入り、眉を寄せた。


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