1/18ページ目 ブザーが鳴って一条はトランクを掴む。学ランのポケットの中の小銭を掴み、座席を立った。夕闇がバスの中を照らしていた。 乗客たちの顔には覇気がない。いや、正確には客ではない。バス内のものたちは、新しく地下町に運ばれてきた、帝愛の『財産』だ。 まるで島流しだな。 うつむく乗客たちを睨んだ。 オレはお前らとは違う。絶対に。 いつまでも奴隷でいられるか。 オレはここで、絶対出世してやる。 そして、いつか家族を迎えに行く。 一条は小銭を精算機に投げ入れた。 「カイジさん、無茶ですよっ!」 「カイジ君!!」 やめとけばよかった……。 何でオレはこんな所にいるんだ……?? つい30分前までは温い教室で惰眠をむさぼっていたというのに……!! 下からは強風が叩きつけてくる。真冬の風は容赦なくカイジの体を煽る。 フェンスを掴んでなければ、すでに落ちているだろう。 こうして立っているだけでも、膝がガクガク震えて目眩がした。 (あぁ……もう、謝ってしまいたい!! ごめんなさい一言で済むんだ。何を迷う必要がある……? が、しかし、……! しかし……!) 「カイジ君!!」 呼ばれてカイジは目覚めた。フェンス越しに高木、石田さん、いつものメンバーがいる。 そして兵藤和也。 「高木……! よく見とけっ……!!」 カイジは一歩踏み出した。 それだけでいい。屋上から落ちるのは。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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