1/13ページ目 子供が泣いていた。 ここまで感情を露わにした泣きっぷりを見てると、自分とは同じ生き物には見えなかった。 「姉ちゃんのバカ〜〜〜〜!!」 「……うるさい」 砂場から立ち上がり、しげるはその子供を振り返った。 自分と同じくらいの子供が、涙と鼻水で濡れた顔を向けていた。 (まゆげふと……) (かみ、しろ……) お互いの第一印象はこんな感じだった。 「どうしたの……」 しゃくりあげる子供の背を、そっと触る。 涙に濡れた大きな瞳を向けてくる。 「姉ちゃんが……お姉ちゃんが、おれのお菓子取った……!!」 お菓子ごときでこんなに騒げるのか。しげるは、ますます珍しいものを見るかのように子供を見つめた。 それからポッケを探り、目当てのものを掴みだした。 子供の目の前につきつけてみせる。 「……あめ玉?」 涙が止まり、興味を示したようにあめ玉を見ている。 やがておそるおそる手を出して、あめ玉をつかんだ。 包みをぺりっと剥がして、口に入れた途端に太陽みたいな笑顔がこぼれていた。 「ありがと!」 表情の変わりように驚いたものの、しげるは自分の砂城に戻っていく。 「きみ、名前は?」 「しげる……」 「おれはいとうかいじ! よろしくな!」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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