1/16ページ目 その日はいつも通りの日になるはずだった。 授業に出て、帰る。それだけのサイクルをたった一枚の紙が壊した。 温かい惰眠を、石田の手によって遮られる。 差し出された藁半紙を見て受け取る。残りは後ろの席のやつに回した。 「ふぁあ……」 藁半紙はいつもの学級便り、報連草だった。 報告連絡だから、ほうれん草という名前からして、どうでもいい情報紙だ。 簡単にざっと見る。 紙面の半分は和也のピカレスクロマンファンタジー小説。 終わった明日へ向かう剣、アルファロレアル=ヴァンフォーレ・ロウを手にしたサリファイスアイエン王子が、シュトルムハイムバッハ三世に約束された聖杯スターカップリングオブデスティニーを渡され……ピィチアルトバイエルンピザハット姫がそこへ、執事の……。 (何だよこれは、文字の八割がカタカナじゃねぇか) 紙媒体の拷問か? 鼻紙かメモ帳、どちらに使うか迷っていると、一番下の文字に気づく。 『新感覚アトラクション、背筋も凍るゲームが堪能できる、夢の城、和也城近々オープン』 ここで読むのをやめ、丸めてクズカゴに投げ入れた。 誰も真面目に読んでるやつなんかいない。ここはスルーが正解。 これが3ヶ月前。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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