1/10ページ目 「ちょっとみんな、聞いてくれ」 HRの時間、帰り支度に追われる生徒たちの視線が教壇の教師に向かう。 「今度のイベントで、うちの宇海が企画をやることになった」 しゅんと教室が静まり返る。 とうの本人も、初めて聞いた話に驚くしかなかった。 「何で宇海が……?」 「零」 「ハイハイ、静かに。これはとても名誉なことだ。そうそうないからな、学生が兵藤主催のゲームを任されるなんて」 名誉……? とてもそうは思えない。勲章ものだとしても、それを胸につける気は、零にはなかった。 「うまくいけば、出世道驀進だ。よかったな、宇海」 「おめでとう」 「おめでとう」 まばらな拍手。 「ちょっと待ってください……!誰もやるなんて……!」 「零……。お前はオレたちのヒーローなんだからよ、頑張ってくれよ。早く出世して、オレたちを楽させてくれよな……」 ミツル。ユウキ。ヒロシ、みんな。 クラスメートたちは全員こちらを見ていた。固い信頼。それをしっかり感じることができた。 兵藤主催のゲームなんて関わりたくない。 でもここで断ったら、出世道は閉ざされる。 何か嫌がらせをされるかもしれない。オレや、クラスメートたちに。 「オレは………」 「!!」 上着のポッケに入った携帯が震え、宇海はハッとした。 通話ボタンを押して、耳につけた。 『零ちゃ〜〜ん、困るよ〜』 「プロデューサーさん……」 24時間帝愛テレビの、番組責任者だった。名前は……忘れた。とりたて覚えておくべき名前じゃない。 きんきんした耳障りな声を受話器に放ってくる。 『まだ番組は長いんだよ? もう少しその部屋で粘ってもらわないと』 「………そうは言っても、この2人は学園でも最強……」 観察眼のアカギに、直感のカイジ。 敵にすると、こんなにもやりづらい2人だったとは。 兵藤が一目置くだけはある。 『いいから、こっちは数字が取れればいいんだよ。つべこず言わず、あの2人を瀕死になるくらいまで、追い詰めろ』 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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