1/12ページ目 扉を抜けると、そこは酒場だった。 カウンターにはいかついハゲ親父が置かれ、コップを拭いている。カウンターの周りには斧や槍、実用に使えなさそうな大剣が並び、壁には銃がかかっている。 4つほどあるテーブルにはそれぞれ客が座り、わざとらしい無関心を装って雑談していた。 (何だこれっ……) 「いらっしゃい」 扉の前で呆けたままのカイジに、ハゲ親父が声をかける。 「立ってないで座ったらどうだい」 「あんたは……?」 「注文は?」 「周りのやつらはなんなんだ?」 「注文は?」 「………水とオレンジジュース」 「お題はいらないよ」 カウンター隣の長椅子にアカギを横たえる。 だいぶ落ち着いてるようだ。しばらくすれば起きるかもしれない。 周りのやつが敵だとしても、今は襲うつもりがないんだ。アカギを休ませる時間が欲しかった。 (……オレのために、一直線にここまで来てくれたんだ) あんな怪しい薬まで呑みやがって。 「……今度は、オレが守る」 アカギの手のひらを取り、体温を確かめる。 親父が運んできたオレンジジュースをアカギの口元に持って行くが、傾けても零れるだけだった。 オレンジジュースを口に含み、アカギの口元へ移す。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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