1/6ページ目 病院の廊下の片隅。左手の待合室は、朝早くだというのにすでに混んでいた。 みんな熱心に、24時間テレビの再放送を見ている。 『両者、ノックダウン!! カウントが開始されます!!』 液晶に映されたカイジと和也は共に寝そべり、見えない天を探していた。ピクリとも動かない。 待合室の客たちは唾を飲みこみ、審判と一緒にカウントを数える。 あと数秒、という所で画像が乱れた。砂嵐が歪んで画面を走った。 砂嵐から数分後、そこに立っていたのは兵藤和也だった。 詰めていた息を吐く音が、待合室に響いた。見るからに落胆と失望が広がる。 『失礼しました。画像が乱れました』 場面が変わってスタジオ。西尾アナが固い笑顔を浮かべていた。 『いや〜、坊ちゃんがやっぱり勝ちましたね。そんじゃそこらの学生とは、ガッツが違いますからね』 男の司会者が軽い口調で和也を賞賛する。が、西尾アナは相槌すら忘れている。 『今の間は…………』 自ら言った言葉に、ハッとする。司会者があからさまに嫌そうな顔をしていた。 『坊ちゃんが負けるわけないんですよ。あってはならないんです』 コメントを押し流すように、スタジオに歌が流れてくる。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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