1/6ページ目 勝利は目前だった。地下からの脱出口は、すぐそこに見えていた。 椀に手を伸ばし、握りこんだはずだ。起死回生の糸口。イカサマ賽子を……! 「見てくれ……! これがヤツらの」 石和の指に噛みつき、手をあげた。 しかし、カイジの目前に迫ったのは班長の憎悪に満ちた表情だけだった。 周りのギャラリーたちは、誰も動き出さず、冷めた目をしていた。 髪を引っ張られ、がんっと畳に叩きつけられた。 「かはっ」 更にもう一回。同じように畳にめり込む。 口の中は血の味がした。しかし、カイジは頑として、手のひらから賽をこぼさなかった。 班長が重たい尻をカイジの腹に降ろした。呻く最中、大きな手が振り上げられる。 乾いた音がして、頬を叩かれた。 続いてもう一回。更に一回。 もはやギャラリーの歓声は聞こえない。 石和と沼川に押さえられ、班長のビンタは今も続いている。 「貴様さえいなければ……!! 貴様さえいなければ……!」 「班長、これ以上は……!」 霞む視界に青ざめた45組の面々がうつった。 (三好………!! 何故……何故……オレを救わない……!!) こんなはずじゃなかった。 手の中の賽子が、ポロリと落ちた気がした。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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