晴れのち、回想
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「今日という今日は決着をつけてやる! カイジ、構えろ!」

投手は北見。なにかにつけて自分と勝負をしたがる、困ったやつだ。

肩にバットを担いだまま、バッターボックスに立つ。右手だけでバットを持ち、二度三度足を踏み鳴らし、足場を踏み固める。

カイジは構えて投球を待つ。
北見が振りかぶり、投げた。
風を切りつつ向かってくる投球に向かって、無造作にバットを振った。

球を捉えた確かな手応えがあった。
投球は遥かかなた、西の空へと消え去り、ついでにバットも手の中から消えていた。

バットは北見と一緒に倒れていた。
地面でのたうち回る北見を見れば、バットがどこに当たったのか一目瞭然だ。

(やっぱり、片手じゃ野球はキツイか……)

「北見。大丈夫か……?」
「てんめぇ〜! わざとだろ!」
「はっ?! いやいや……そんなわけ……」

慌てて弁解するが、立ち上がったら乱闘になるのは確実だった。その前になんとかしないと。

「アカギくん?」

声のした方を振り返ると、ジャージ姿に交じって、制服姿のアカギがいた。

なにかあったのか駆け寄ると、アカギはひどくつまらなそうな顔をしていた。

この顔には覚えがある。
ひとりぼっちで、夕方の公園で遊んでいた時のものだ。
急に手を引かれ、グラウンドを後にした。


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