1/9ページ目 「今日という今日は決着をつけてやる! カイジ、構えろ!」 投手は北見。なにかにつけて自分と勝負をしたがる、困ったやつだ。 肩にバットを担いだまま、バッターボックスに立つ。右手だけでバットを持ち、二度三度足を踏み鳴らし、足場を踏み固める。 カイジは構えて投球を待つ。 北見が振りかぶり、投げた。 風を切りつつ向かってくる投球に向かって、無造作にバットを振った。 球を捉えた確かな手応えがあった。 投球は遥かかなた、西の空へと消え去り、ついでにバットも手の中から消えていた。 バットは北見と一緒に倒れていた。 地面でのたうち回る北見を見れば、バットがどこに当たったのか一目瞭然だ。 (やっぱり、片手じゃ野球はキツイか……) 「北見。大丈夫か……?」 「てんめぇ〜! わざとだろ!」 「はっ?! いやいや……そんなわけ……」 慌てて弁解するが、立ち上がったら乱闘になるのは確実だった。その前になんとかしないと。 「アカギくん?」 声のした方を振り返ると、ジャージ姿に交じって、制服姿のアカギがいた。 なにかあったのか駆け寄ると、アカギはひどくつまらなそうな顔をしていた。 この顔には覚えがある。 ひとりぼっちで、夕方の公園で遊んでいた時のものだ。 急に手を引かれ、グラウンドを後にした。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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