亜理沙・イン・ナイトメア
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「出せよオラッ!」

伊藤カイジは最悪だった。
寝ては起き、寝ては起きの生活を繰り返していたらある日を境に。

「このヤロ〜。何であたしがこんな目に……ッ!」

小うるさい女と二人っきりで、よくわからない小部屋に押しこまれていた。




扉はひとつ。押しても引いてもビクともしないのは、目の前の女が実演済みだ。

扉の中にある、小さな扉が気になる所だが、カイジは部屋のスミで膝を抱えて、一歩も動く気がなかった。

それが目の前の女に関わりたくないからか、はたまた帝愛に関わりたくないのか自分でもわからなかった。
おおかた、暇を持て余した坊ちゃんに目を付けられ、寝てるうちにさらわれたのだろう。

「ハァ……」


「ちょっとそこの!!」

青いワンピースにエプロンドレスという、アリスの格好をした女が近寄ってきた。

カイジは面倒なので、顔をそらしてタイルとにらめっこする。
自分の靴を影がかぶさり、髪を引っ張られた。

「っ……!」
「聞こえないの??」

真下からギンッと睨まれ、カイジは青ざめる。

(こいつ……怖ッ!!)

「アンタ、名前は」
「……カイジ」

引っ張られる髪に、顔を歪めながら。

「……お前は」

女はパッと手を離し、マスカラで重たそうなまつげが乗るまぶたを、またたかせた。

「亜理沙」


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