1/6ページ目 「出せよオラッ!」 伊藤カイジは最悪だった。 寝ては起き、寝ては起きの生活を繰り返していたらある日を境に。 「このヤロ〜。何であたしがこんな目に……ッ!」 小うるさい女と二人っきりで、よくわからない小部屋に押しこまれていた。 ユ 扉はひとつ。押しても引いてもビクともしないのは、目の前の女が実演済みだ。 扉の中にある、小さな扉が気になる所だが、カイジは部屋のスミで膝を抱えて、一歩も動く気がなかった。 それが目の前の女に関わりたくないからか、はたまた帝愛に関わりたくないのか自分でもわからなかった。 おおかた、暇を持て余した坊ちゃんに目を付けられ、寝てるうちにさらわれたのだろう。 「ハァ……」 「ちょっとそこの!!」 青いワンピースにエプロンドレスという、アリスの格好をした女が近寄ってきた。 カイジは面倒なので、顔をそらしてタイルとにらめっこする。 自分の靴を影がかぶさり、髪を引っ張られた。 「っ……!」 「聞こえないの??」 真下からギンッと睨まれ、カイジは青ざめる。 (こいつ……怖ッ!!) 「アンタ、名前は」 「……カイジ」 引っ張られる髪に、顔を歪めながら。 「……お前は」 女はパッと手を離し、マスカラで重たそうなまつげが乗るまぶたを、またたかせた。 「亜理沙」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
[編集] |