1/12ページ目 首を絞められている。いつもの自分の部屋、いつものベッドを背に、アカギがのしかかっている。 殺意に満ちた顔が、カイジを見下ろしていた。 いつもとは違う、憎しみがこもった目。 何故。どうして。 「っ……く…るし……」 部屋には黒い紗がかかりだし、光る点が舞いだした。 息ができない。悲鳴すら言葉にならなくて、手をのばした。 (アカギ………) 「………!」 視界いっぱいに空が広がっていた。 カイジは起き上がり、額の汗を拭いた。穏やかな日差しなのに体だけが冷たかった。 (またこの夢か………) 中学に入る時に決別した友人。その友人が何かにつけては、夜におしかけてくる。 しかもあの時の夢だ。ケンカ別れの前日にあった、あの状況。 夢の中のオレは、抵抗を一切しない。むしろ……最近はあの状況を喜んでる節すらある。 夢の中で意識が途切れる時に、アカギが手を握ってくれる。 首から手を離し、頭を撫で……。 「オレって……大丈夫なのか? 変態なんじゃ………」 春の空を見上げてひとりごちる。 ため息をついて立ち上がる。 屋上からはグラウンドが見えた。 校舎への桜並木の道を、新入生たちが慣れない様子で歩いている。 そういえば、もうすぐ入学式だ。 (オレには関係ないな。寝るか……) カイジは春の空にゆるいあくびをはなち、再び横になった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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