1/8ページ目 「おいっ……大丈夫か?」 精悍な男の顔がフェードインする。 オレはゴミ袋を枕に寝ていたらしい。 頬を触ると血がついていた。 これは……自分の物じゃないな……。 「お前、飲み会にいたヤツだろ? こんな所で寝るなよ」 これは……居酒屋で見た顔な気もするが、思い出せないな……。 「どうしてここにって……。泥酔してたお前が、急に出て行ったから……その……」 寝たまま見上げると、男の顔は酒のためか少し赤かった。 「……心配だったから」 剥き出しの心臓を触られているような、嫌な感覚だった。 この男に気を許してはいけないと思いつつも、手を貸してもらえるのを待っているオレがいた。 「おい、待てよ。どこ行くんだ」 お節介、大きなお世話と罵倒するも相手はこたえていない。 「怪我してるヤツをほうっておけるかよ……」 ゴミから出て、千鳥足のオレを男は支える。 誰なんだコイツは。 「えっ……。オレは、伊藤カイジだけど……」 伊藤カイジ。 もつれた舌で読んでみた。 ついでに自分の名前もはなった。 「赤木しげる……覚えやすそうな名前だな」 人の良さそうな男、カイジは酒気にまみれた顔をにやっと崩した。 そのまま酔いが飛んでいくような、晴れやかな笑顔だった。 「とりあえず……オレんちでも行くか?」 あくまでもほうっておいてもらえないらしい。 男のしつこさに、オレはついに観念して苦笑した。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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