1/12ページ目 介抱されに来たのに、いつの間にか介抱してる。 男は幸せそうに眠っていた。 この酒の呑み方……覚えがある。 逃避だ。何かから逃れたくて、意識を酒に渡している。 「おい……起きろよ」 こんな所で寝たら風邪を引いてしまう。 というかオレはどこで眠ればいいんだ。 寄りかかる体を抱くと、男の目が開いた。 「…………」 しっかりと目を見てしまい、視線をそらした。 どうも苦手だ、この目。赤ん坊みたいな目だ。 「誰だ……お前………。うっ……いてて……、またオレは男を拾ってきたのか………?」 「……は?」 そう言うと男は唇をあわせてきた。 酒の匂いのする柔らかい唇に触れられると、雷に打たれたみたいに体がビクッとなった。 オレは男の手を取って、深く応じた。口を開けさせて、合間から舌を入れる。 どうして男を避けたがったり、苦手意識を持ったのかようやくわかりはじめていた。 すっかり息をはずませて、余裕のなくったオレを見て相手は笑う。 小憎たらしい笑顔だった。 伊藤カイジ。 オレはさっき教えてもらった名前を呼んだ。 呼ぶと、今度は犬みたいに嬉しそうに抱きついてきた。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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