カイジたちの夜2
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談話室の空気は冷たく澱んでいた。
時が止まってるみたいだ……。誰も喋らないし、身じろぎすらしない。
時計の音だけが、時が進んでる証拠だった。
9時15分。

一通り着替えて、温かい濡れタオルも貰ったのに、歯の根がカチカチと鳴っていた。
タオルを指に馴染ませても、指先は固く、細かく震えたままだ。


「死体は……安藤ケイコさんで間違いないそうです」


死体発見から30分以上たって、最後に談話室に戻ってきたのは小林さんだった。
一同は顔をあげて、またすぐにうつむいた。
OL二人は鼻を鳴らしてさっきから泣き止まない。

「救急車と……警察は」
「もう手遅れです。長い時間雪の中に埋もれていたんでしょう、体がカチコチで……。
警察は吹雪のせいで、明日に来るそうです」

上からみどりさん、ローズさん、みゆきちゃんが降りてきた。

「サトミさんは……?」
「眠いからほうっておいてくれって」
「……何を考えてるんだ」

小林さんはため息をついた。疲れてるようだ。雪の中を這って死体を運んだんだ、無理もない。

「……ケイコちゃんはどうして死んだのかしら?」

触れてはいけない話題だったらしく、一同は真理さんをギョッとした顔で見ている。

「……警察が明日まで来ない以上、私たちが死体の状況を調べたほうがいいんじゃないかしら?」
「どういう意味だい、真理」

透くんに問われて、真理さんはローズさんを見る。ローズさんはうなずいた。

「他殺か事故か、知っておく必要がありますわ……。夕方もこの辺で事件があったのでしょう?
もしかしたら、同じ犯人なのでは……」
OLたちは短い悲鳴をあげて、震える体をお互い抱きしめた。

まさか、ヘルメット男を殺した犯人が、まだこの辺に潜んでるっていうのか……?
そんなミステリー小説じゃあるまいし。
オレは声に出して否定できなかった。
現に殺人が起こってるのは事実なんだ。それも近所で。


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