スターラッシュ
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京葉新都心。
連なる摩天楼の多くに灯りはなく、バブルの残骸と言われる都市。

その地上から遠く離れた空に、闇を裂いてヘリが飛んでいる。
メインローターの回転音はヘッドセットのおかげで遠いい。
アカギはケースから煙草を取り出してくわえた。
火をつける直前で機内禁煙なのを思いだし、渋々ライターをしまう。

隣の相方は夜の先を睨んでいる。
最近じゃ自分の視線にもすぐ気づくのに、視線をやってもこちらを見ない。
それが何だか気にいらなくて、くわえた煙草を噛みしめる。

やがてヘッドセットから操縦士の声が聞こえてきた。

「今回の任務は債務者の回収です。まず、債務者の安全を第一に考えてください」


スターサイドホテルでゲームが数年ぶりに開催されると情報が入ったのは、一週間前のことだった。

マークされていた場所ということで、罠かと思われたが、参加者の名簿を見た一条は顔色を変えた。

調査を続けた結果、ゲームは本当に開催されることがわかった。

ヘリの操縦士、調査庁の職員は前を見たまましゃべりだした。

「あと二分で降下地点に入ります。
ホテルのヘリポートに着陸許可は降りていませんので、ヘリから飛び降りてください」

相変わらず無茶な命令だ。
安月給にしては体をはるのが多い、この仕事。
難儀と抗議する前に面白そうだ、と思ってしまう自分には天職なのかもしれない。


スターサイドホテルが眼前に迫っていた。暗黒に広がる、星々の海。
カイジにとっては懐かしい場所だ。
あそこで多くの人が死んだ。


「降下地点まであと60秒。……50秒」

ヘリのドアを開けると斜めに烈風が入ってきた。


灯りと言えばサーチライトだけの暗いヘリの中、カイジが震えていたのがはしに見えた。
ヘッドセットを脱いでアカギは口にしていた煙草を投げ捨てた。
暗黒に白い線をひいて、煙草が宙に落ちていった。


「怖いならオレが抱いて降りましょうか?」
「……言ってろよ」

軽口に反応できるなら問題ない。
アカギは、モタモタと巻き上げウインチを用意するカイジを突き飛ばした。

「うわぁあああ!」

カイジは暗い海に落ちていく。悲鳴と一緒にビルの屋上に叩きつけられた。

「いててて……」
「大丈夫ですか、カイジさん」
「お前が突き飛ばさなきゃな……」

屋上に見張りはいなかった。
鉄骨のスタート地点のこのビルは、使われていないどころか、いまだ建設中だ。

野生の獣の死骸のように骨を残したまま、取り壊すこともできず、買い手もつかず、海が見える一等地で死骸を晒していた。

「鉄骨はこの下です。行きましょう」



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