ピンクのしおり
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「じゃあ……オレに雇われないか」

アカギの目に初めて人間らしい色を見た。見開いた目は、心なしか楽しんでる気がする。

「あんたが……? オレたちの正体を見抜いたのは、褒めてやるが……、
一般人のあんたが報酬を払えるとは思えない」

確かに今は定職についてないし、元よりつく気もない……。
財布の中は札よりもポイントカードの方が多いくらいだ。

だけどオレにはまだ体がある。
体があれば何でもできるんだ。体を資本に金を稼ぐこともできるし、何なら一部を賭けてもいい。

この銃撃戦の中、美心やおっちゃんたちと無事に生きて帰るには……このアカギを味方につけることが最善策に思えた。
だからまずは……相手を信用させる。

「体で払う」

予想だにしなかったのか、アカギだけでなく銃撃戦が一時止まった。

スパイだか何だか知らないが、肉体労働は地下で馴れている。
ちょっとやそっとのしごきでへこたれるもんか。

「……キツいぞ」
「構うもんか………!」

オレを凍らせていた瞳がすっと細くなり、触れられるくらいに近づいてくる。
というか……触れていた。


唇が。

「?!」

心身を凍らせるような力のある唇に、抱かれた背筋がぶるっと震えた。

「な、な……な、なな」


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