1/25ページ目 オレは横になったまま小屋の天井を見つめていた。 平山くんは隣で眠ってる。さっきの鋭い殺気は見る影もない……。 物音がしてオレは暗闇の中を見渡す。ドアがゆっくり開き、影は眠ってるオレたちを見下ろしている。いや、オレたちじゃない。影は香山さんだけを見てる。 シルエットからして女性……。 「春子さんですか……?」 影がピクリと震えてオレに向き直る。 ランタンをつけようと近くの床を探った。 春子さんは泣いてるらしかった。鼻をすする音と泣き声がして、ランタンをつける手が止まる。 「あの……大丈夫ですか。台所に……暖かい飲み物があるから、取って来るんで……!」 気の利いた言葉さえ出てこない。 オレは慌ててランタンを持って廊下にでる。 廊下の玄関にはうみたんが座っていた。真夜中だと言うのにバンダナも防寒具も着込んで完全防備だ。 ランタンを掲げるとズボンが膝下までぐっしょりと濡れていた。傍らには凍りついたシャベルが置いてあった。 どこかに行ってたのか……? 「おい、アンタ……!」 「な……何、なん、何や……あんたかい。夜中に出歩くなや!」 「春子さんが泣いてた。あんたが何かしたんじゃないのか」 「おばさんが……? 知らんわ、ボケェ。 あんまチョロチョロすんなや」 「お前たちもマインドブレイク狙いなのか?」 「……そうやな。アンタらは先に解放してやるわ。アンタと白髪の兄ちゃんだけな」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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