1/13ページ目 背後では波の音がしている。 白とクリーム色にまとめられた寝具と家具には、シワや汚れひとつない。 (ここはどこだ……?) 明らかに地下ではない。空気も光も、地下より一段と濃かった。 事件を解決して、和也に殴られて、それから……記憶がない。 カイジはベッドから降りて、もこもこで細かい模様のついた絨毯を踏みしめる。 よく考えろ。そもそも、アイツは一体何なんだ? あんな胡散臭い奴を、どうして信じてしまったのか。 答えは簡単だ。自分を助けてくれたから。 アイツが誰でも、自分を助けてくれたことに、変わりはない……。 (………) ふと、監視室での会話を思いだした。 「汚ねぇ部屋だな、あっちのモニター室とは大違いだ」 アイツが言ってたあっちって……黒服やVIPが使ってるモニター室か? だとしたら、アイツは帝愛側だ。ここから一刻も早く逃げないと。 コツコツ、と窓を叩く音がした。近寄ってみると、窓の外に白い鳩がいた。 窓を開けると同時に強い風が吹きこんできた。 鳩は風とともに、部屋に入ってきた。 カイジには構わず、絨毯の上で毛繕いをはじめている。 窓の外を覗きこむと絶景が見えた。水平線が、視界いっぱいに広がっている。 下は崖だ。波が崖にぶつかり、崩れて潮をまき散らしている。 これじゃ逃げられない。 カイジは走り出し、ドアノブに手をかけた。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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