インスタント探偵
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背後では波の音がしている。
白とクリーム色にまとめられた寝具と家具には、シワや汚れひとつない。

(ここはどこだ……?)

明らかに地下ではない。空気も光も、地下より一段と濃かった。

事件を解決して、和也に殴られて、それから……記憶がない。

カイジはベッドから降りて、もこもこで細かい模様のついた絨毯を踏みしめる。

よく考えろ。そもそも、アイツは一体何なんだ?
あんな胡散臭い奴を、どうして信じてしまったのか。

答えは簡単だ。自分を助けてくれたから。
アイツが誰でも、自分を助けてくれたことに、変わりはない……。

(………)

ふと、監視室での会話を思いだした。


「汚ねぇ部屋だな、あっちのモニター室とは大違いだ」


アイツが言ってたあっちって……黒服やVIPが使ってるモニター室か?
だとしたら、アイツは帝愛側だ。ここから一刻も早く逃げないと。

コツコツ、と窓を叩く音がした。近寄ってみると、窓の外に白い鳩がいた。
窓を開けると同時に強い風が吹きこんできた。

鳩は風とともに、部屋に入ってきた。
カイジには構わず、絨毯の上で毛繕いをはじめている。



窓の外を覗きこむと絶景が見えた。水平線が、視界いっぱいに広がっている。
下は崖だ。波が崖にぶつかり、崩れて潮をまき散らしている。

これじゃ逃げられない。
カイジは走り出し、ドアノブに手をかけた。

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