1/5ページ目 給料日まであと一週間。ここが正念場だ。 この時期は節約に飽き飽きし、油っこいものやビールが呑みたくなる。煙草はしばらくやってないし、コンビニやドーナツ、ケーキ屋は魔の領域で近づいたら最後だ。 特別調査部があるビルの屋上で、カイジは空を見ていた。 (ああ……腹減ったな……) 朝飯はカロリーメイト半分のみだった。長く食いつないでるために、湿気っててボロボロだった。 公務員なのに、何故こんなにギリギリの生活をしてるんだろう。 答えは決まっている。さっきから煙草の煙をこっちにかけてくるこの……アカギ何とかってやつのせいだ。 「アカギ……さっきから、煙いんだよ!」 「オレは煙草美味いですけど……」 「お前の煙草の味なんかどうでもいいんだよ……! 近くで吸うな!」 上司でもあり、捜査のイロハを教えてくれた鬼教官、アカギ。 こいつに負けっぱなしで、給料のあらかたは取り上げられていた。 苦い煙を手で撒いてはたいた。 自分の吸う煙草はあんなに美味いのに、人が吐いた煙はどうしてこんな不快なんだろう。 「赤貧なカイジさんに、煙草の煙をお裾分けしたいと思ってね」 「いるか、んなもん……!」 そっぽを向いて、空の雲を見た。段々と、雲の形が食べ物に見えてくる。 「あれは……ゆで玉子だな」 「漫画家のね」 「下のはドーナツ……」 「タイヤ」 そうそうタイヤを、あったかいレモンティーと一緒にって……。 「食えるかんなもん……!」 「カイジさんの発想が小学生並みで、面白くてね……」 「くっ……」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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