1/11ページ目 相変わらず独り身だった。 季節が巡ってもカイジのそばに人はいなく、金も集まってこなかった。 (一体、幾人がオレの隣を通り過ぎていったんだろう……) 安藤に古畑、佐原に石田、三好前田、坂崎遠藤……。 結局みんなに死なれるか、裏切られた。闇医者のおかげで、指や耳は繋がっている。だけど、元には戻らないのもある。 石田さん、佐原、中山もみんな、みんな亡くなった。 『会いたい人はいますか?』と街頭インタビューで聞かれ、それからナーバスの海に落ちた。 逃げるようにインタビュアーから背を向けて、人ごみに紛れた。 街を行き交う人はみな幸せそうだ。にぎわすクリスマスソングも、きらびやかな電飾も心に響かなかった。 部屋に入って玄関に倒れこむ。 久しぶりに外で飲んだのが悪かったのか、酔いの質がよくなかった。 佐原や石田の死に際が次々と浮かんでくる。 石田や佐原、遠藤や坂崎がいたらこの時期ももっと楽しかったに違いない。 涙が堰を切って溢れた。顔を歪めて、床に向かって叫んだ。 「佐原よぉ〜!!」 「はい」 人の声がして、揺らめく焦点が点を定める。 そこに死んだはずの佐原が、買い置きしていたカップラーメンをすすっている。 「う゛わぁあああああッ!!!」 生まれてこの方、指の切断より恐ろしいものはないとさっきまで思ってたのに、それが完全に覆った。 「カイジさん、お邪魔してます」 「うわっ……! うわっ……!! 嫌だっ、オバケ……!」 ドアにすがりついてノブをガチャガチャとやるが、まったく開かなかった。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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