君と英雄2
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天は高く馬は肥える季節といっても、夏の名残がこびりついてるような日だった。
屋上へつづく階段を君は登っていく。
地下の空が見渡せるベンチに二人はいた。
アカギとカイジは静止画みたいに寄り添ってる。暑さも借金も極貧も、今の二人からは遠いみたいだった。

声をかけなければ、ずっとこうしてるだろう。たとえ地下から人がいなくなっても。
君は善意から声をかけた。

「……えっと」
「何か用か……」
「いや……」
「消えてくれないか」

アカギはこれでも譲歩してる。昔なら、すぐさま消えろと言ったはずだ。

「伊藤、下で呼ばれてるぞ」
「どうせくだらない事だろう」
「赤いたすきを肩に巻いて、隊列組んで伊藤の名前を呼んでる」
「……くだらない事だったな」
「ほら」

君はフェンスに寄りかかってグラウンドを指差した。
グラウンドにはいつになく協調性を見せた生徒たちが集まっていた。
グラウンドにはカイツと人文字が浮き上がっていた。
アカギはギョッとして二三度グラウンドを確かめて見た。それから眠るカイジの手を握った。



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