零が疲れる回
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アカギはいつもと違って綺麗すぎた。すさんだ目は輝いてるし、不遜でただ横柄な態度もない。

「オレ、心を入れ替えたんだ。カイジさんに可哀想なことしたなって」
「あ、アカギ……。やっと、やっと……、改心してくれたんだな」
「今まで勝ったお金は返すし、百万円あげるよ」
「やった……! ありがとう、アカギ……!」
「好きだよ、カイジさん……」
「お、オレもアカギのこと」
アカギの手が背に回った。
いつもと違って恋人同士がやるようにただ優しい。
嬉しくて、アカギが触るたびにたまらない気持ちが押し寄せてくる。
「あ……アカギ……しゅき……」


「………アホかオレは……」

酷い夢を見た。
馬鹿馬鹿しくて、くだらない、最低だった。
起きるとまず鳥肌がたった。それからベッドの中で、う〜う〜唸ってジタバタする。

どうしてアカギが相手なのか、どうして百万円なのか。夢なんだから一億円もらってもいいじゃないか。自分の底の浅さが見えたようで嫌だ。

「カイジさん、起きたの……?」
「あっ」

夢から覚めれば残酷な現実があった。
視界を奪われ、背中から手がまわってきて四肢をきつく抱かれた。
何も見えず、聞こえるのはアカギの吐息だけだ。
「夢でも現実でも……お前は………」
「カイジさん、オレの夢を見たの?」

「ち、違う」
「……アカギって甘い声で呼ばれたんで、抱きしめてあげたんですが……」
「誤解だ。赤城温泉郷の夢を見たんだ」
「マニアックですね……温泉郷で興奮するんですか?」
「興奮……? そんなわけ……」

ぺろんとズボンを下げられて固まった。己の意志に反して、下半身は頭をもたげて主張していた。
竿をさすられてぞくぞく痺れが全身に走る。
思わず背を丸めて両膝を上げた。

「夢で、どんなことされたんですか……? そのアカギって奴に……」

あんな夢で、あんな夢で勃っちまうなんて……。
オレはもう。
「カイジさん!」

アカギの手を振り払って、一目散にトイレへ逃げこむ。
すぐさまノックが追いかけてきた。

「オレのせいじゃない。アカギが……いつもあんなことするから……。
アイツさえいなければ、オレは善良で平和な日々を過ごせるんだ……!」


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