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零ノ島
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宇海零の端正な顔には陰りがあった。
白衣を羽織って、カイジを手当てする姿には心なしか怒りがみえた。

「アカギさんか和也くん、どっちに苛められたの?」

両方とは言いがたい。
苛められてる時に、どこからかサッと現れて助けてくれる。
宇海零はそんなやつだった。
優等生で、島で唯一の診療所の息子。
同じ男として、ちょっと引け目を感じるくらいのサラブレッドだ。

「苛められたんじゃねぇよ……ケンカだ、ケンカ」
「一方的な暴力はケンカとは言わない」
「………」
「オレから離れちゃダメって言ったろ。カイジさんはオレが守ってあげるんだから……!」


こうやっていつも子供扱いするから、オレは頼ってしまうんだ。

「チッ……。早く大人になって島をでたいな……島をでれば……」
「……島をでる?」
包帯を切っていたハサミが木の床に落ちた。

「またオレから逃げるの? カイジさん」
「え?」

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