々
かたくしばる
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「ねぇ、あの人格好いい……！」
「本当だ、声かけてみようか」
「やめておきなよ。どうせ彼女でも待ってるんだよ」

アカギは腕時計を見る。
待ち合わせの相手は一向にこない。
まだベッドの中にいるのか……。尻を叩いて起こせばよかった。中々、遅刻癖は抜けない。

「アカギ……！ 悪い……！」
「ほら彼女が…………彼女？」

待ち合わせの相手は世にもムサい男だった。

「退屈で死ぬかと思いました。あと数秒遅かったら、カイジさんのパソコンにウィルス送ってた」
「だから、悪いって……」
「あれは彼女じゃないよね……」
「手繋いでるけど……」
「え……」

「やめろよ！ デートだと思われるだろ……！」
「じゃあこっちで」

カイジの手首にはいつもの手錠。

「な、何して……！」
「デートだと思われるのが嫌なんでしょう？」
「何だぁ～。彼女じゃなくて犯人かぁ」
「やっぱり……」

周りの女性たちの視線が離れていく。
カイジは納得いかなかった。

「これなら、デートだと思われないでそばにいられる」
「あのな……」
「たまにはイタリアンレストランでも行きましょうか、カイジさん」
「お前がレストランとか似合わねぇ……まぁ……一緒なら……どこでもいいけど」

「すみません、お客様。手錠のかかった方の入店はちょっと……」
「あらら……」
「当たり前だろ……」
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