1/6ページ目 首に絡みつく腕。 長い髪がオレの視界をサッと流れた。 しだれかかってくるなりは確かに男の物で。 雀荘に時折現れる、不思議な人。伊藤カイジ。 「ちょ……ちょっと、カイジさん……」 溺れる人間のように口をパクパクさせて何かを伝えてくる。 そのまま力を失って膝から崩れていく。 「お……おい?!」 (つ……つい、お持ち帰りしちまった……) 雀荘に放置するわけにはいかねぇ。 カイジさんには不思議な魅力がある。 雀荘でも彼をからかったり、気を引こうとする奴は多い。 肩にカイジさんが寄りかかってる。 布団を巻いて温めてやっても肌は冷たい。 「……のど、渇いた……アカギ……」 アカギが雀卓にいるとカイジさんは熱心に見てる。 だけどまさか恋人だとは……。 アカギはしばらく雀荘に顔をだしてない……。 「血……飲みたい……」 「え」 カイジさんの頬から涙が流れる。 腕を取っても力も感じない。 この様子じゃ2、3日食べてなさそうだ。 だけど今、なんて言った……? 血……? 血を飲みたいのかこの人。 カッターを取ってきて指に刃を立てる。赤く線を引く。 (いてっ………) 指をそっと近づける。舌の感触にオレは飛び上がった。 口に含まれた。 ちゅ、と指先から音がでた。 カイジさんは一心不乱に吸ってる。 「……ほ……本当に 吸うんだ……」 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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