遊戯王

白狼恋話 バク表
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「バクラくん、おはよー!」
「おはよう、遊戯くん」

(ああ、やっぱりだ……)


宿主サマは遊戯が好きらしい。
遊戯が話しかけてくるたびに鬱陶しい感情がこみ上げてくる。


(しかし、コイツのどこがいいんだ……ただの餓鬼じゃねーか)

宿主のヤツ、変態だろ……。
ちらちら見てると、遊戯は小首を傾げて笑いかけてくる。

(チッ……脳天気なヤツ)

無邪気な笑顔を見てると滅茶苦茶に壊してやりたくなるぜ。


「わぁ!」
「バクラくん、大丈夫?」


宿主のヤツ、横ばっか見てて転びやがった。
本当鈍くさいぜ……。
オレは人格を乗っ取った。


遊戯の手を取ると小さくて餓鬼みたいだった。
大きな目が心配げに揺れる。
途端に胸が高鳴る。

(チッ……面倒くせぇ)




(コイツマジでむっつりだな)


体育の着替え中、宿主はじっと遊戯の着替えを眺めていた。
おかげで鼓動が激しくて仕方ない。
オレ様は溜め息をついた。

(そんなに好きなら襲えばいいだろうが)



オレは遊戯のあとをぴったりとつく。
人気のない所で手をのばす。
遊戯が振り返った。

「どうしたの? バクラくん」
「……」

(生足かよ……)


他のヤツらはみんなジャージを履いてるのに、何でお前だけ短パンなんだよ。
身体がかっと熱くなる。
オレ様は唾を飲み込んだ。

「ちょっとこっちに……いいかな?」
「うん」

体育倉庫にオレらは入った。
遊戯の手首を引っ張ってマットの上に突き倒した。

「遊戯……千年パズルもなしに油断しすぎだぜ……」
「き、君は……バクラくんの裏人格!」

「おっと、暴れたり騒いだら宿主サマを傷つけるぜ……お前の大好きな宿主をよ……」
「ぼ、ボクに何の用なの?」
「……どうやら宿主はお前が好きらしい」
「ぇえ!? ボク男だよ!」
「んなの見りゃわかんだよ! 来い、遊戯」

手招きすると、遊戯はオレの膝に躊躇いがちに乗ってくる。
撫でる身体が柔らかくて戸惑う。少年らしい骨格はあるものの、これじゃ完全に餓鬼だぜ。

浅くしたキスに満足できずに、オレは遊戯を押し倒して深くやりなおす。
小さな舌を吸って麻薬みたいな甘さを楽しむ。

「おーい、遊戯ー! ここにいんのか?」
「じ、城之内くん」
「なにしてんだよこんな所で」
「何もしてないよ!」

遊戯は赤くなって立ち上がる。
オレ様はその手を取って身体を引き寄せる。
最後にキスをした。

「行けよ……遊戯。オレに食われないうちにな……ククク」

遊戯はロボットみたいな動作で倉庫から出て行った。
……アイツ。宿主のこと好きだろ。
それとも、オレ様が好きなのか?


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