遊戯王

バー 闇表
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暗黒だった。
オレには記憶も家もなかった。
何のために生まれたのかもわからないままオレは相棒と再び出逢った。


「ボクのこと、覚えてないの……?」

魂が空っぽになったかのような顔だった。
置き去りにされた迷子みたいな顔。
初対面の奴にそんなこと言われて、俺は戸惑った。
武藤遊戯は華奢で、思わず守ってやりたくなるような儚さがある。


遊戯と話してると何とも言えない気持ちがこみ上げてくる。
この笑顔も、この笑顔も懐かしくて懐かしくて泣きたくなる。
感情に抗いたくて、オレはわざと遊戯には冷たく当たってしまう。


「オハヨー! アテムくん!」
「おう」

遊戯が当たり前のように隣に収まった。
努めて冷静さを喚ぶ。
懐かしい愛しい記憶……それはずっと前からの気がした。

「アテムくんってひとり暮らしなの?」
「ああ」
「仕送りとかしてもらってるの?」
「いや……でもお金は足りてるな」

そこらの不良やデュエリストから巻き上げた金があるから困ってはない。
問題は家がないことだ。

「アテムくん……ちゃんと食べてる?」
「え? ああ」
「お菓子……とか」
「それってちゃんと食べてないでしょ!」
「お菓子じゃダメか?」
「ダメに決まってるでしょ! ボクのお弁当あとであげるから」

「アテムくんちってどこにあるの?」
「町の外れにある」
「そこってちゃんとした家?」
「……」
「ボク、家に行っていい?」
「散らかってるけど……」


「うわ……」


遊戯に引かれてしまった。
確かにここは家とは言い難い。廃墟ビルの一室だ。

「……本当に、なにもないまま転生したんだ」
「?」
「何でもないよ。アテムくん、うちに来てよ」
「でも……」
「いいから来るの!! 栄養失調で死なれたらたまったもんじゃないよ!」

有無を言わさない遊戯にうなづくしかなかった。


「というわけで、アテムくんは天涯孤独なんだ」
「そうだったの……ずっとここにいていいからね」

ママさんを騙すのは気が重い。
遊戯の部屋には急遽使ってなかった勉強机と二段ベッドが運びこまれた。

(遊戯の匂いがする)

まずいぜ。せっかく遊戯を避けてたのに同じ部屋だなんて。
早速遊戯は着替えで服を脱ぎはじめた。
幼くも見える肢体に目が奪われた。

「もしかして、アテムくんって着替えやお風呂も入ってない?」

素直にうなづく。
汚れないし。
遊戯が拳を握り締めてる。

「ちゃんとお風呂入るの!」

腕を引っ張られてオレは脱衣場に連れてこられた。
素早く脱がされて浴室に入る。

「もう……何千年ぶりだから仕方ないのかもしれないけど……」

遊戯はオレをあらためて見ると、顔が真っ赤になっていた。わかりやすい奴だ。
オレは椅子に腰かけて洗ってくれるのを待つ。

遊戯はオレの前に立って、ボディシャンプーを手に落とした。
首に小さな手がかかる。遊戯はオレの身体に手を滑らす。

こんなことが、昔あった気がする。
遙か昔……。

「あ、アテムくんってもしかして自分で、慰めたりしないっ?」
「しないな」
「仕方しらない?」
「そうだな……僕が口淫してた夢なら何回か見たぜ」
「!」

嘘だったが遊戯が面白くてつづけた。
遊戯はうつむいて唇を噛む。膝を折ってオレのに口をつけた。

「……!」

小さな口は拙く性器をしゃぶってる。
遊戯がオレのをしゃぶってるってだけでたまらないのに。
四つん這いになって奉仕してる様に嗜虐心を煽られる。
それでも顔にはかけたくなかった。
立ち上がらせて、遊戯の可愛い尻に向かって吐き出した。


「ありがとう、遊戯」
「う、うん……もう二度としないからね」
「してくれないのか?」
「しないよ。自分でやるんだよ本当は」
「どうやって?」

遊戯は浴槽のふちに座って、自分のを触った。すでに勃ってるのは奉仕中にわかってた。
じとじと見てるとますます堅くなっていく。
オレは胸をいじってやる。

「どうした、遊戯? 手が止まってるぜ」
「や、そこ……アテム……」

オレは遊戯を引き寄せて膝に乗せる。
手淫を引き継ぐと、先端から止めどなく我慢知るが溢れてくる。

そうだ、オレはずっとこうなるのを望んでいた。
オレがずっとしたかったこと。弄って泣かせて自分の物だと印を残す。
昏い喜びを噛みしめる。

「こうするんだな」
「ぁあ! ボクもうダメぇ……!!」

強く苛めてやると、遊戯は手のひらに吐いた。
遊戯は部屋に戻ったあとも、鼻をすすりながらぐずってる。

「キミがわからない……」
「……」
「ボクたちずっとひとつだったのに、キミはボクに冷たくしたり苛めたり……」
「オレは……」

「お前のために転生してきたらしい」
「!」
「キミは……記憶が戻ったの?」
「いや……ただ、最近までは魂だったことは覚えてる」
「そっか……」
「お前の身体に触れると止まらない」
「! あ、あのね……ボクは男なんだからね」
「相棒……」
「!!」

相棒はあからさまに動揺して楽しい。


「相棒はオレにそう呼ばれたいって、城之内くんから訊いた」
「じ、城之内くん……何で言うかな」
「オレに似た知人が大好きすぎて、いなくなってからは毎日泣いてたのも、城之内くんから訊いた」
「じ、城之内くんめぇ!」
「相棒」

相棒を膝上に乗せる。それだけで大人しくなってしまうから可愛い。

「さっきの続きをしようか」





つづく

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