遊戯王

精霊獣とはかいの竜
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ユウギの体はバクラに操られている。
ふたりの境界が溶けてなくなりそうな、甘い感覚にセトは眉根を寄せる。


『ボク、好きな人がいるんだからね』
『アテムを守りたいんだ』

(ユウギ……)

最初は弟のように思った。
だが今は違う。同じ人間としてユウギを認めている。
このまま溺れたらどんなにいいか。

セトはユウギに触れそうになるたびに剣のみねで自身を打った。
これはユウギの意志ではない。
白く精が散って脚の間のユウギと目があった。


「く……」

アテムといつもこんなことをしてると思うと顔を見られなかった。
指についた精を舐めるユウギは淫らだった。

「いい加減に目を覚ませ……!! ユウギ!」

「っつ?!」

鞘ごとユウギの頭に叩きつけた。
ユウギは頭を抱えて膝を折る。

「いたた〜ひどいぜ、セトくん!」
「ユウギ……」

いつもの様子にほっとする。
やはりこっちのがよかった。


「ここ……どこなの?」
「心配するな。私がついている」
「……」

「……どうしたユウギ」
「アテムがボクを追ってきてる……」
「わかるのか」
「うん……」
「……バクラを倒せば、丸く収まるのかな……」
「……どこ行こうかな。バクラを倒したら」
「ファラオの元に戻らないのか」
「……アテムはいつか、お嫁さんを取るんでしょ。そうなったら……ボクは耐えれないよ。
今の彼みたいに……嫉妬でおかしくなりそう」
「……」

「ファラオがファラオじゃなくなれば……貴様らはふたりで生きられよう」
「え?!」
「私がファラオになればいい。そうすれば……」
「セトくんがファラオ〜? 冗談キツいぜ」
「貴様……」
「ふふ。でもいい王サマになるかもね」
「ボク……ファラオとしてのアテムも好きなんだ……。堂々としててかっこよくて……玉座にふんぞり返ってさ……」
「だからそれは……受け入れるのは難しいよ」

「……この際だから言っておくぞ」
「うん?」
「私はお前が好きだ」
「え……」

この青くなる反応、全く手応えがないみたいだった。
情緒のかけらもない。


「普通は赤くなって恥じらいを見せるのではないか?」
「いやいや、勘弁してよ……」

ユウギはちょっと手が震えている。
怯える顔が愛らしい。
慌てさせたくて一歩ずつ近づく。


「貴様がファラオが好きならそれでいい。だが……」
「ファラオを選ばないのなら、私と共に生きてもらう」
「な、何それ」
「ファラオの元を去れば今のように追っ手がかかろう。貴様が殺されては目覚めが悪いからな」

ユウギを壁際に追いつめる。
あごを掴み唇を近づける。
もっさもっさした感触だった。
クリボーが身代わりになっていた。

「ぼ、ボクはアテム以外に触らせる気はないよ!」
「……」
「もし触ったら……舌を噛んでやる!」

(やれやれ……バクラに操られて、自分が何をしたかは言わない方がいいな) 


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